アレルギーと臓器
私たちの体は一定の状態で体内の様々な働きができるように体の外と中を上手にわける力を持っています。例えば体の外に刺激物質(ウイルスや花粉など)があったとしても体の内部の力を使ってこういったものが体内に入らないように防御するのもその一つです。
身体の外と中を隔てる臓器としては大きく分けて3つあります。まずは外気と体内を隔てる隔壁となる皮膚、鼻や気管支の粘膜は吸い込んだ空気と体内の間を隔てています。また腸の粘膜は食べ物が通る腸(外部)と体内を隔てています。花粉症をはじめとする多くのアレルギー疾患はこの外と中を隔てる臓器の不調、あるいは故障により発生する病気として考えることができます。たとえば皮膚機能の問題ではアトピーやじんましん、気道粘膜ではアレルギー性鼻炎や気管支喘息、腸粘膜では食べ物アレルギーや腸管アレルギーが起こります。
外と中を隔てる臓器をしっかりとさせれば外の環境が変わっても体内の全ての働きが正常に働いている時は健康であるということができます。これだけだと簡単に聞こえるかもしれませんが、現代の日本においては生活習慣やストレス、環境の汚染など外と中の両方を傷つける要因が溢れています。アレルギーという大きな病気を改善させるためには外内を隔てる臓器の強化を考えていくというのも一つの有効な手段であり、そこに中医薬は大きな助けとなります。
アレルギー疾患に対しても漢方治療の第一は生命力、自然治癒力を高めること
現代医学ではアレルギー性疾患に対して抗アレルギー薬やステロイド剤と起きている症状を抑える治療を金科玉条としていますが、漢方医学ではアレルギー疾患に限らず、全ての疾患に対して特殊な場合を除いて先ず第一に生命力、自然治癒力を高めることでアレルギーが良くなったり、再発しなくなることを良く経験します。そのためには身体を温め、胃腸の働きを整え、臓腑を養うことを先ず、常に念頭に置いて治療に当たります。これらを目的とする漢方方剤を防衛剤と呼びますが、現代医学には防衛剤に相当する薬はごく特殊な用途に使用する薬を除いて存在しません。 |