第15回「同性と友達になれない」 私は女性ですが、女性が苦手です。女同士だと何を話せばいいのかわかりません。中高時代は、女子高だったので、ひたすら存在感を消していました。女って感情の起伏が激しすぎると思いませんか? スイーツも可愛いものも興味がありません。男友達と一緒の方が気が楽なんですが、恋愛沙汰に巻き込まれたりして、もう人間嫌いになりそうです。どうしたらいいでしょうか。(28歳・会社員) 女同士だからって話が合うわけじゃないアタシは、これでもかってくらいオトコが大好きなんだけど、だからって、女が嫌いなわけじゃないわよ。てか「欲望の対象」として男性性が好物で、「共感して楽しめるもの」として女性性が好物、ってな具合に「美味しくいただける部分」はそれぞれにあるわけ。それとて、「全部のオトコを食いたい」わけでも「全部の女と話が合う」わけでもないしねぇ。 そういう意味では、女性全部をまとめて苦手って言っちゃうあなたって、許容量がないとも言えるし、望みが高いとも言えるのかも。だって、それって「本来、周囲の同性みんなと仲良くやれるのが当然」という前提からの引き算で考えてるんだものね。んーなのねぇ、幻だから! 共感ネットワークに入れなくても負けじゃないわ女子高時代の孤独なあなた視点で見てた、話が合ってそうな仲良しのやつらだって、学生社会を生き抜くための友達ごっこだったり、ちょっとしたことで裏切られたって感じてたり、陰ではひどいこと言い合ってたりなんてのがゴロゴロあった関係なのよ〜(アタシの目線も荒んでる……)。そんな女子の慣れ合いコミュニティーを直感でわかってて、「私はそういうの無理だわ」ってひいてた面もあるんだろうから、それって「入れない私」なんて引け目を感じることないじゃない。そういうのには「入らない私」で良かったと思うわよ。 一般的に女子は、共感の能力が高い生き物と言われてるわよね。これにはミラーニューロンみたいな科学的な根拠話もあるみたいだけど、まぁいわゆる女性性の強いコミュニケーション(オネエ界も含む)には、共感第一なふしがある。となればその「あのスイーツやばくない?」「やばおか!」「DA・YO・NE〜!」(ババア混入)な共感ネットワークに入れなかったあなたが疎外感を感じるのはもっとも。でも、それは「仲間はずれになった女」という負けた目線ではなく、「女にもいろいろいる。私が証明です!」という、少数派であることに胸を張れる目線を持てば、済むことなんですよ。 “例外”が存在意義になることもあるよアタシ含め、生物学的男子の割に、いわゆる女性性が強めだったキャラたちは、多かれ少なかれ幼少期に「オトコオンナ〜」とか妖怪みたいな呼ばれようをされたの。それは、「自分が溶け込めない疎外感」どころか、周囲が「お前は異物だ」と認定発表してくる残酷なコミュニケーションだったし、ウブなアタシは、「ち、違うもぉん」なんて消え入りそうな声で抗ってたのよ。 でも、毎日のように昼間からヒゲを剃って厚化粧をしておマンマを食ってる今なら、心から「オトコオンナで正解!」だと言えるわ。男にも女にも例外はある。そして例外にされた時は、その悲しみから多数派を恨みがち、嫌いがちだけど、その先に、例外である自分の存在に意義を見出し誇りに思うことや、むしろレアさを武器に転換することにつなげられるのよ。 自分に向き合うきっかけにして羽ばたくのよあなたが、女性に多いセンスに合わないことはきっと事実。あとは、その状況を「仲間からはじかれた自分」なんて思わずに、「もしかして私、最近話題のトランスジェンダー的な要素持ってるのかな。心は男性性寄りなのかも」なんて自分に向き合うきっかけにしたり、「女性だからこう、なんて決め付けがはびこってる社会は文化的につまらない。この想いをアピールしたり後押しする仕事をしよう」なんて燃料にしたり、いろいろ有効活用はできるんじゃない? その目線に立てば、周囲の女性たちとの付き合い方も、まったく卑屈にならないで済むと思うわ。 「一般的な女性たちと合わない」ことも、ひとつのチャンス! そもそもアタシなんてね、一般的な男性や女性はおろか、一般的なホモすらももはや仲間にしてくれない少数女装族なんだからね! でもだからこそ、そんな生き様の中でめぐりあう「この人は男とか女とか同性愛とか異性愛とか関係なく、話がわかる!」って瞬間が眩しく、感謝できるものなのよ。 |