左:角田朋子(妹)、右:ツノダフミコ(姉) バブル前後に生まれ、不況の中で育ったアラサー世代。転職、結婚、出産など重要な人生の岐路を前に、次の一歩が踏み出せず「こじらせ」状態になっていることもあるはず。 そこで、札束飛び交うバブル時代に青春を謳歌し、転職・起業、不倫、離婚、バリキャリ、うつ病、不妊治療、高齢出産など様々な経験を経て、2012年に『女地獄の歩き方』(マガジンハウス)を著したマーケッターのツノダフミコさんと角田朋子さんのユニット、ツノダ姉妹に、人生の先輩・バブル世代から見た現代のアラサーの立ち位置、人生の転がし方を聞いた。 一歩が踏み出せないのはアラサー世代の賢さゆえ?――バブルの好景気を経験されたお二人から見て、現在のアラサーはどう感じますか? ツノダフミコ(以下、姉):今のアラサーの子たちって、内面ではいろいろな問題を抱えていると思うのだけど、冷静に合理的な判断に基づいて行動しているように見えます。マーケティングの観点から見ると、「堅実」の一言。バカみたいな無駄遣いをせずに、お金をやりくりして貯金する。 でもそれは「リスクマネジメントなのでは?」とも感じます。自分が「そうしたい」と望んでの結果ではなくて、不安から逃れるため。だから「アラサー世代は満足感が少ない」と言われているのかなと思います。むしろ腐女子とか自分の趣味に没頭できるほうが、世間の目は冷たくても満足度は高いのかも。 角田朋子(以下、妹):みんな、お利口さんなんだと思います。アラサーより少し上の世代は、憧れのライフスタイルとして、雑誌『VERY』や『STORY』読者のような、専業主婦的な志向「ゆるキャリ」が支持されている一方で、アベノミクスでにわかに期待されている、かつてのカツマーに代表される「バリキャリ」の道がある。それぞれ自分の道を邁進しているんですよね。でもアラサー世代はその背中を客観視できる冷静さがある分、悩んでいるような。 姉:だから、リスクの方ばかり目がいっちゃうのよ。 妹:世間からは「働け働け」と言われる一方で「子供を産め」とも言われる。だから賢い人ほど悩むのでしょうね。だからって情報を集めようとすると、情報の海で溺れちゃうから、まず自分の位置を知ることが大切。漠然としていることが一番怖い。 アラサー女子が「濡れ落ち葉おじさん」化してる妹:私たちのひとつ下の世代は『負け犬の遠吠え』に代表されるように、「私たちは負け犬なのよ! アハハ!」と笑い飛ばす強さがあったんだけど、今のアラサーは吹っ切れられないのかな。あまりかたくなになっちゃうと、昔の「定年後は濡れ落ち葉」と呼ばれたオジさんみたいになっちゃいますよ。 姉:アラサーの子たちは「濡れ落ち葉」って言われたってわかんないわよ。 妹:仕事一筋で趣味も持たずに真面目なんだけど、定年退職後は何もすることがなくて奥さんにべったり張り付く困ったおじさんのことです。そうなりたくないならコミュニティーを広げるなり、何か風穴を開けとかないと。 姉:とはいえ、アラサー女子はちゃんとやってるじゃない? でも「みんなしてるから」が動機の子が多い気がする。「自分がしたいこと」じゃないと、結局、中身は「濡れ落ち葉おじさんに」近いのかも。 妹:みんなに合わせているうちに「自分のやりたいこと」を見失っちゃうんだよね。 姉:だからといって、いきなり「やりたいことを見つけなさい」と言われても辛い。それなら「絶対にやりたくないこと」を軸にすればいいと思うんです。私が大企業に就職せずに、秘書や、起業したのは、満員電車に乗りたくなかったから。下らない理由でしょ。それに大きな組織の中で動くのが苦手だったので、自分の選択肢から外したんです。「我慢するのが大人」と言われても、私にはできない。周りからは色々と言われますよ。でも「勝手に言ってろ」と思っていればいい。「やりたくないこと」はやらなくてよろしい!! 妹:周りはけっこう迷惑してるよ! 姉:でもだからといって、私の人生、私の代わりに誰も責任とってくれないわよ。 妹:うーん……。その空気を読まない破天荒ぶりは、全然アドバイスにならない気がする。 姉:満員電車に乗らなくったって、自転車で行けばいいじゃない。目的地まで行く手段には、色々な選択肢があるっていうことが言いたいわけです。 >>【後編につづく】目標達成のための“逆算人生”は無意味! 女地獄から這い上がったバブル姉妹の「転んで覚える経験のススメ」 |