街はすっかりクリスマスモード。イルミネーションが光り、ほぼすべての女性誌ではクリスマスギフト特集が組まれています。ところが、ある調査では、働く20〜30代の独身男女のうち、6割がクリスマスを1人で過ごす「クリぼっち」予備軍だとか。 首都圏の独身男女、6割が恋人なしの「クリぼっち」予備軍?オンラインレストラン予約サイトを運営するオープンテーブルが、首都圏の働く20〜30代独身男女975名に対し、「今年のクリスマスは誰と一緒に過ごしたいですか?」と聞いたところ、65.5%が「恋人」と回答したそうです。現時点で恋人がいない人に限っても、43.6%が「恋人と過ごしたい」と答えており、「聖なる夜は恋人と過ごしたい」男女が多いことが分かります。ただ、同調査によると、57.3%と過半数が「恋人がいない」と回答。オープンテーブルでは、こうした男女を、クリスマスを1人で過ごす「クリぼっち予備軍」と見ています。 ただ、考えてみれば、キリスト教徒でもない日本人がクリスマスを盛大に祝い、さらには「恋人と過ごすべき」なんて変な話です。合理的な意味が分かりません。 クリスマスが「恋人同士のイベント」になったのは1983年から1960〜70年代まで、クリスマスは子供中心のイベントでした。堀井憲一郎著『若者殺しの時代 』(講談社現代新書)によれば、当時、日本人にとってはクリスマスよりも「お正月」の方が大事だったのです。 クリスマスが今のように「恋人の日」となったのは、1983年の雑誌『an-an』がきっかけです。同誌には1983年12月、初めて「クリスマス特集 今年こそ彼の心(ハート)をつかまえる!」と題した特集が掲載されました。イヴの夜は彼氏とシティホテルに泊まって、翌朝はルームサービスを取りましょう、という内容です。 堀井氏によれば、それ以降、80年代後半から90年代にかけて「クリスマス・ファシズム」が広まったといいます。若い男性向けの雑誌『ポパイ』や『ホットドッグプレス』では、クリスマスに向けて「彼女にこれをプレゼントしよう」とか、「必勝! 2人で過ごすイヴ大作戦」などの特集が組まれるようになりました。 イヴの夜のシティホテルやレストランは、何か月も前から予約でいっぱい。この時期は、1年で最も「恋愛至上主義の圧力」が強まる時期になったのです。そんな時代に生まれ育った今の20〜30代男女が、「クリスマス=恋人同士で過ごすのが当然」と思ってしまうのも、無理はありません。 ケーキを買って、「実家」で過ごしてみてはもちろん、クリスマスを恋人と過ごしたい人を否定するつもりはありません。きっと楽しいでしょうし、ムードに呑まれて愛が深まることもあるでしょう。が、もしあなたが、こうした「彼とラブラブのクリスマス最高〜!」という空気に違和感を抱いていたり、クリスマスに1人で卑屈になるくらいなら、オススメは「実家で過ごすこと」です。 ほんの30年前まで、クリスマスは、子供にプレゼントをあげ、家族でケーキを食べる日でした。今こそ、それを実行してみてはいかがでしょう。ケーキを買って実家に帰れば、親御さんも喜ぶはず。温かい家族団らんのひとときを提供するのは、親孝行にもなります。1人で泣きながらケーキを食べるより、よほど素敵な夜になるのではないでしょうか。 |