「30代、非婚、子なし」の女性を総じて定義した「負け犬」という言葉がユーキャン流行語トップテンに選ばれたのが2004年。そこから、早10年、今では生涯にわたりひとりの生活を謳歌している女性は「おひとりさま」と呼ばれ、旅行などをはじめとする様々なサービスの展開も充実しています。一方、あえて「おひとりさま」でいる訳ではなく、このまま一生独身だったら……と不安を払拭しきれないでいる人も多いかもしれません。 そこで、シングル女性のライフスタイルに詳しい生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんに、おひとりさま女性を取り巻く現状についてお話を伺いました。 「おひとりさま」が社会のスタンダードに――近年、独身でいることに対して、当事者である女性自身も肯定的に考えているケースが増えているように思うのですが、いかがでしょうか? 和泉昭子さん(以下、和泉):現在、生涯未婚率は男性2割、女性1割なのですが、将来的には益々割合が高くなると予測されています。生活の利便性が高くなり多様な価値観が認められるようになる、つまり社会が豊かになると未婚率も比例して増えていくので仕方のないことではあります。これからの時代は、“おひとりさま”が標準世帯になるとも言われています。 ――結婚の必要性が薄れているような気がしますね。 和泉:昔は女性に経済力がなかったので、結婚は生きていくために欠かせない制度だったのですが、いまや夫だけが働いて楽ができる時代ではなくなっています。キャリア志向の女性も増えて、結婚が必須という意識は全体的に薄れていますよね。家事サービスも充実していますし男性からしても、ひとりでいても苦労しない状況が整っています。 とはいえ、子どもを生みたい場合はやはりひとりで育てるよりも、結婚して2人の方が何かとプラスなことも多いのは確かです。残念なのは、「本当はこうしたかったけど、できなかった」という状態。結婚は年齢を問わないですが、女性にとって子どもを産める期間には制限があるので、まずは自分がどういう生き方をしたいか早いうちから考えることが大切です。 充実した「おひとりさま」ライフには友達が必須――ひとりで生きていくには色々な準備と心構えが必要なのですね。ただ、「結婚しない、子どもを作らない=孤独」とは限りませんよね? 和泉:そうですね。ただ、ひとりで生きていくうえでも、本当に大事だと思える友達が必要だと思います。自分に何かあったときに助けてくれるのは家族だけに限りません。信頼できる友達を持ち、お互いに助け合う関係を作れるといいですね。今はSNSが発達しているのでコミュニティーも作りやすいですし、以前に比べるとひとりでいることの寂しさはだいぶ違うと思います。 ただ、本当に自分が大変な時でも面倒がらずに、一緒にいてくれる人が大事な友達です。すでにそういう友達がいるという人もいるかもしれませんが、相手に何をしてもらえるかではなく、自分がその友達に何ができるかということもしっかり考えて、絆を深めていくことが望ましいと思います。 ――「おひとりさま女性」予備軍は、まずどうしたらいいでしょうか。 和泉:何か不安にぶつかったときには、面倒と思わずに立ち止まって対策を考えましょう。貯蓄や病気、親の介護などは、人が生きていくうえで逃げられないものです。とことん追い込まれるまではなかなか動けないものですが、事態を想定して準備しておくことは、結婚していようとシングルだろうと変わりはありません。「おしゃれもする」「自由に遊ぶ」、でもリスクヘッジはしっかりするクセをつけてこそ、自立した「おひとりさま女性」として人生を楽しめるのだと思います。 >>【後編につづく】「おひとりさま」の老後に必要な貯蓄は1,800万円! 30代独身女性がぶつかる“3つの壁”とは?
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