2016年、「住みたい街ランキング」首位に

ついに「住みたい街ランキング2016」で恵比寿が首位に立ちました。前回まで5年連続1位だった吉祥寺をおさえての快挙です。そんな訳で、”アラサー世代の独り暮らしに最適な街はどこなのか？”を探る連載、第3回目は恵比寿にスポットを当てることにしました。

もしかして、住みたいと思う人が多い＝実際に住んだことがある人は少ないのでは？！　そもそも恵比寿って、家賃が高いイメージがあるけど、そこまでして「住みたい街」なのか？！　なんて若干戸惑いつつ、今回は恵比寿歴6年のAさん(32歳女性）にお話を伺いました。Aさんは有名難関私大を卒業後、就職。日々のハードな仕事を感じさせず、いつもオシャレ。指先も春めいた上品な色。ご本人の希望によりパーソナル情報は記載出来ないのですが、「この人、カカトの角質でストッキングうっかり破れたこととか、一回も無いんだろうな……」なんて考えてしまうような、素敵な女性です。

外の人から見た恵比寿の魅力

JR埼京線、JR山手線、JR湘南新宿ラインと東京メトロ日比谷線が乗り入れる恵比寿駅。アクセスは抜群で、渋谷・六本木からもタクシーですぐ。会社員のデートといえば恵比寿、という定番スポットだけに、飲食店に困ることはまずありません。とにかくおしゃれな街という印象があります。

不動産情報サイトHOME’Sによると、恵比寿の平均家賃相場は1Kで12.74万円。前回取材した高円寺と比較しても約5万円も高いです。1DKでは13.59万円、ゆったり暮らせる1LDKタイプではなんと23.21万円にまで跳ね上がります。収入が安定してくるアラサー世代とはいえ、この家賃を払える人はごく一部だと思われますが、それでも住みたい理由とは？

デートスポットを抜けないとTSUTAYAまで辿り着けない罠

「ヘンな格好で外歩けないじゃないですか。やっぱりデートスポットだし。もちろんランニングしたりとか、ラフな服装で出歩いている人もいるんですけど、あれは元々スタイルが良くて顔もおしゃれな人の特例ですよね」

「ちょっとTSUTAYAまで、と気を抜いてスッピンで歩いていた時に、うっかり元彼のデート現場に遭遇したことがあるんです……。多分、向こうも私に気がついてて。「老けたな」とか思われたらどうしよう！　って、その日はずっとモヤモヤして。それ以来、常にちゃんとしようと思いました」

土地勘が無い方に改めて説明させていただきますと、恵比寿のTSUTAYAはガーデンプレイス内にあります。よりによって、隣にはウェスティンホテル東京……ちょっと気分転換に海外ドラマ借りようと思ったら、おハイソなデートスポットを抜けないと到達できません。これはちょっとしんどい。しかしAさんは、この程よい緊張感こそが恵比寿の魅力だと語ります。

「仕事が忙しいと、どうしても化粧や服がおざなりになってしまうんですよ。でも、そこを街が許してくれないっていう良さがありますね。緊張感が心地良いんです。私が勝手に思ってるだけかもしれないですけど（笑）」

「仕事を早く切り上げて今日こそ寝るぞー！　って感じで、疲れMAXの状態で恵比寿の改札を抜けるとね、デートの待ち合わせをしている女性が目に入るんですよ。みんな小綺麗にしてるでしょ。そういうとき、自分が女として頑張ってないなって、責められている気分になっちゃうんです。そうすると疲れている時も好きな人に連絡してみようかなとか、遊びに行こうって、自然と思えたりする」

「あと、独身でいると心配されちゃうじゃないですか。親に。でも恵比寿にいると”仕事を頑張って人生を楽しんでいるOL”っていう印象が、他の街に住むよりもわかりやすく与えられる気がするんですよ。まだ結婚しないの？　って実家に帰るたびに言われちゃうんですけど、”いやー、まだかな。楽しいし”って堂々と返せる。実際そんな余裕無いんですけど（笑）」

Aさん、ストイック過ぎます。ダサさを受け入れてくれる、池袋に行けばいいのに……！　と池袋の魅力を逆語りしてしまおうかと思いましたが、連載の主旨が変わってしまうので続けます。

恵比寿では”外から来た女の子がモテる”

「恵比寿OLはイケてるっていうけど、そりゃそうですよ。デートしに来ている人が殆どですもん。大多数は外から恵比寿を攻めて来てる人。実際に恵比寿在住OLって、平均採るとどんな人なんでしょうね？　私もジムとか通っていないので、まだわからないです。経営者とか、業界人のクラスになるとコミュニティーがありそうだけど……とりあえず、モテるのは外から来ている女性だと思いますよ。中の女は、恩恵全然無いです（笑）」

確かに、平日19時過ぎ、恵比寿駅直結のファッションビル”アトレ恵比寿”のトイレには、メイク直しをする女性がひしめき合っています。彼女たちは、恵比寿に来た人たち……これ、大学のインカレサークルと同じ現象です。外からやってくる女子大の子がイケてる男子と付き合うパターン！　

恵比寿女性の、次の行き先は？

「出来るだけ恵比寿に住み続けたいな、と思います。恵比寿にこだわる訳ではないんですけど、下がりたくはないかなあ。仕事も今まで頑張ってきたし、このまま続けて、好きなものも自分で買える生活をずっとキープしたいなって。悩みなんですけど、”自分で”頑張っている結果なのに、金遣いが荒いとか高飛車なイメージを持たれてしまいがちなんですよね……（笑）」

ランナーズハイ、もとい精神的加圧トレーニングでしょうか。ミニスカートを履いていると、周囲からの視線を受けて足が細くなるという説がありますが、それと似た現象が起こる街、恵比寿。美容や精神的アンチエイジング代が含まれると思えば、家賃も安いものなのかもしれません。