仕事が休みと言えども、小さな子どもを持つ親たちにとっては普段と変わらず忙しい年末年始。ニューヨークでは大晦日である12月31日には、高額なベビーシッター料がかかっても子どもを預ける夫婦が多いんだとか。そんなニューヨークの年末のベビーシッター事情を「NEWYORK POST」が伝えています。 年末年始のベビーシッターは通常時の2〜3倍の時給ニューヨークの年越しといえば、世界で最も派手だと言われているタイムズスクエアのカウントダウン。12月31日の夜には、まもなく迎える新年を祝うため、世界中から100万人もの人が集まります。 ニューヨークのハーレムに住む22歳のヘイリー・ジョーンズさんは、大晦日にはベビーシッターのアルバイトで時給にして40ドル〜50ドル(約5000円〜6000円)稼ぐと語ります。「普段であれば、1時間子どもを預かって17ドル〜22ドル(約2000円〜2400円)ですが、毎年、この日は大きな値上げが起こります」とのこと。 彼女も登録している「UrbanSitter」というベビーシッターのマッチングサイトでは、「大晦日に時給6000円でベビーシッターを請け負います」と書きこんでいる他のベビーシッターもいるんだそう。 子どもを預け、両親はパーティーへこのニューヨークにおける大晦日のベビーシッター料の高騰は、需要が高くなるから価格も高くなるというシンプルな構造です。 先日、「UrbanSitter」では、ニューヨークに住む1500組の夫婦に対して、大晦日にベビーシッターを利用する習慣について調査。すると4分の1以上の家族が、ベビーシッターの経験や預ける子どもの数に応じてではありますが、大晦日はベビーシッターに通常の2倍以上の金額を払っても良いと回答。この日の晩だけで200ドル〜300ドル(約2万4千円〜3万6千円)を支払ってでも、カウントダウンパーティーや食事などに出かけようと考えている夫婦は少なくないことがわかりました。もちろん、ベビーシッターのタクシー代も利用者夫婦が支払わなければいけませんから、相当な支出です。 利用者夫婦同士の競合も過熱しているもちろん、どんなに高額でもベビーシッターをお願いしたいという考える夫婦もおり、ベビーシッターを利用したい夫婦は、金銭面で他の利用者と競合しないといけなくなります。 「UrbanSitter」のCEOであるリン・パーキンズ氏によると、利用者夫婦の中には、なんとか他の利用者と差別化してシッターを雇おうとしている人もいると言います。とある夫婦は、シッター料を200ドル割引する代わりのクーポンとして、ラグジュアリースパのチケットや映画のDVDボックス、DEAN & DELUCAのグッズ詰合せなどをプレゼントしているんだとか。 ベビーシッターの派遣会社をわずか15歳の若さで経営する実業家のノア・ミンツはこの価格の引き上げについては公平だと言います。学生など多くのベビーシッターとして働く女性たちは年末年始に家族や友だちと過ごしたり旅行に行ったりすることよりも、通常よりも時給が高いので働きたがるのだそう。 ますます進む価格高騰に疑問を抱く人もしかし、ベビーシッターを利用する夫婦の中には、この状況はお金の強要だと捉えている人もいます。「1時間で40ドルもシッター料を払うなんて馬鹿げている」として、大晦日には外出はせず、子どもと家で過ごすことを選択する夫婦も増えてきているのだそうです。 とあるベビーシッターを日常的に利用している母親は、「大晦日だからといって、ベビーシッター全体の平均料金を引き上げることは、ベビーシッター自身にとって不健全だ」と語ります。彼女からするとこの状況は、「医者が今すぐに手術をしなければ患者が死んでしまうことを知っているが故に、高額の手術料を要求するのと同じこと」なのだそう。この考え方に同調する人は少なくないそうですが、まだまだこの価格高騰は進むと見られていて、ニューヨークでは当たり前のことだと捉えられているのが現状のようです。 アメリカでは、州によって詳細は異なりますが12歳以下の子供だけで留守番をさせることは違法になります。よってベビーシッターは学生にとってポピュラーなアルバイトであり、ベビーシッターを雇って子育てをすることも当たり前のこと。しかし、お金がなければ雇うことができないという状況では、子育てにおける経済格差が進んでしまうことを懸念する人は少なくないようです。 参考:NEW YORK POST |