■第32回 兄がニートで困ってます 自分自身は仕事もプライベートもうまくいっているのですが、今年で32歳になる兄が働いていないことに悩んでいます。大学を出て2年半は仕事をしていましたが、それ以降はバイトとニートを繰り返し、今は何もしていません。母は体が弱く、兄のことで頭を悩ませていることもあって、私は結婚でもしないことには実家を出ていくと言い出しづらいんですが、彼氏に兄の状況を告白できず、両親に紹介する以前の段階です……。父もあと3年で定年なのでその後が心配です。兄とは昔からたいして仲良くなかったし、今はこんなに迷惑な存在なのに、母に仕事の話をしているときにアドバイスとかをしてきて毎日イライラします。2年半しか働いていないのに! 兄に将来どうするのかと聞くと不機嫌になります。私はどうしたらいいでしょうか? 実家を出ればいいと思いつつ、母は見捨てられないんです。(IT会社勤務 29歳) ニートは56万人だそうよニート問題、深刻よね…。内閣府の2015年版子ども・若者白書によれば、「15歳?34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」という、ほぼニートに相当する層は、56万人だそうよ。だいたい鳥取県の人口がまるごとニートだってくらいの人数!(イメージの悪い鳥取県利用) 当然、それだけの人数がいれば、それを抱える家族も相当数いるわけで、相談者ねえさんの悩みもそんなに珍しいものじゃないってこと。というか、家庭内暴力や現時点でのお金の無心などがない分、まだマシなほうで、ひどい話では、親が死んだ後に法律上の扶養義務を理由に生活費を兄弟に請求したり、それこそ妹さんの結婚話を破談にさせちゃったりみたいな悲劇もあるみたい。 まともに働かない親族に振り回される問題は、有名人だって同じ。ローラちゃんのチョイ悪どころかホン悪オヤジもそうだし、あのマドンナ姐さんでさえ、ホームレスでアル中の実兄に、メディアで自分の悪口を言われてる状態だもの。 まあ、「恋人に言いにくい家族の属性」って意味では、「32歳にもなる兄がニートなの…」と「44歳にもなる兄が女装で食ってる淫乱オカマなの…」で、どっちがドン引きされるかって考えると、本当にアタシも人様のこと言えないし、一人っ子で良かったわーとも思うけどね。嗚呼。 兄をどうしたいかが問題ねあなたの場合は、まず「兄をどうしたいか」ってことよね。愛情なり想いなりがあって、兄になんとかなってもらいたいのか、物理的に厄介な存在だから、消えてほしいと思っているのか。文面からは、残念ながらあんまり愛情のようなものは伝わってこないわね。「恋人や世間様に恥ずかしい存在」「現在は両親のお金を食いつぶしている」「もしかしたら将来は自分にも金銭的に頼るのか」といったあたりで、ひたすら迷惑なだけで、兄が心配だ、ってわけではなさそう。 別に、兄弟だから愛情を持てって言うつもりはないのよ。でも、心の弱さで逃げたりして身動きできなくなってる人間に、「心配だから。すこやかになってほしいから。愛情があるから」伝える言葉じゃなく、「厄介だから。恥ずかしいから。迷惑をかけられたくないから」伝える言葉って、多分追い詰めたり絶望させるだけで、ますます腐っちゃう可能性が高いと思う。 変わってほしいなら、“愛情”が必要お兄さんが変わってくれることを望み、それを伝えたい、という場合は、まずあなた自身が、彼への想いを見つめ直して、本音と愛情で向き合わないと効果ないんじゃない。それこそ、仲良かった頃の昔話や、両親への想い、なんかの心ある会話で「だから、お兄ちゃんには前向きになってほしい」って泣けるホームドラマばりの流れがあれば、お兄さんも前向きな気持ちで動きやすい。ハローワークに行くなり、深刻な場合は、厚労省が数年前までやっていた「若者自立塾」みたいな集団生活をして再就職訓練をするような施設に入所するなり、すぐに働けないまでも、現状から脱却するための行動を見せてくれるかもね。 冷酷になるのもアリよそのへんの情がどうしても持てない、と言うんなら、今度はとことん冷酷になるしかないんじゃないの。マドンナだって、あんな莫大な資産があれば、文句言わない程度にお兄さんに金を与えて、醜聞にならないように黙らせとくことだってできるだろうに、縁を切って援助もしなかったわけでしょ。自分の生活が脅かされるレベルでお金を与えちゃうような、甘かったり、世間体を気にする親族が多い中で、ある意味あっぱれな突き放しっぷりよね。マドンナ的には痛くも痒くもない金額でも、甘やかさずに、メディアに「あんなに稼いでるのに肉親を捨てるスター」って悪口言われたっていいから、自分でちゃんと生きろダメ兄!って突き放してんだから。そして自分は還暦手前でもハイレグで踊って若い男に入れあげてんだから(いいじゃないの!)。 お母さんと一緒に、お兄さんも救える?あと「お母さんは見捨てられない」という気持ちが強いとしても、そこにセットになるお兄さんを救うこともあなたは引き受けられるのか、って現実にも向き合わないとね。 だからこそまずはお父さんの定年前にでも、家族で、お兄さん問題をどうするつもりかきちんと話し合ったほうがいいんじゃない。ご両親になにかあったら、法的には自分が扶養義務を負ってしまうんだ、ってことも含めて、親が子を甘やかすのと、愛情のない妹=自分が養わさせられるんじゃ違うってのを、正直に話してもいいかも。 赤の他人の女装おじさんからは「ほんと大変ね…」と言うくらいしかできないけど、心配なお母さんも厄介なお兄さんも、どちらもあなたの家族。葛藤もその先の覚悟と選択も、人生を作っていくという意味では、全部あなたの身になることだから、自分に恥じない決断をしてちょうだいね。 |