旅行の楽しみは、予定を立てる段階から始まっている。どこの国で何をするか想像を膨らませること自体を「趣味」と捉えることもできるだろう。 そんな旅行好きの楽しみが増すスポットが10月、表参道にオープンした。「世界で一番ワクワクする旅先を見つけてほしい」という思いが込められた、H.I.S.の新店舗「H.I.S.旅と本と珈琲とomotesando」だ。 店舗内の写真 同店舗は、スペシャルティ・コーヒー専門店として人気の「猿田彦珈琲」、そして日本初のブックディレクター「幅允孝」氏とコラボレーション。従来の旅行会社とは全く異なる、旅行会社にカフェと本屋が融合した非日常の空間だ。明日にでも飛び立ちたくなるような胸の高鳴りを感じさせてくれる。 今回は、店舗が生まれた経緯とサービスの内容を、広報の司奈奈さん、プロジェクト担当者の大橋礼奈さんに伺った。 気軽に立ち寄れる場所にしたかった――こちらの店舗が生まれたキッカケはなんだったのでしょう? 司奈奈さん(以下、司):通常、旅行会社の店頭には、「旅行のお申込み」や「行程の相談」など、具体的な目的がある方のご来店が多く、気軽にお立ち寄りいただくことが少ないのが現状です。さらに、WEBでさまざまな情報が手に入る現代において、店舗の在り方や存在意義を見直したとき、「旅行のキッカケをご提供する場所にしたい」と考えたのが始まりでした。そして、日常的に気軽に行く場所といったら「カフェ」だなと。 本店を恵比寿に構える「猿田彦珈琲」 ――なぜ、猿田彦珈琲さんとコラボされたのですか? 司:なにより気軽にお店に足を踏み入れてほしいとの思いがあって、「たった一杯で幸せになれるコーヒー屋」というコンセプトを掲げる猿田彦珈琲さんとのご縁もあり、今回のコラボにいたりました。オープンするにあたり、旅がもつワクワク感や少しの不安などの要素をイメージしたオリジナルブレンドのコーヒーを作っていただき、店頭で販売中です。商品名は「旅の扉ブレンド」。表参道店限定なので、ぜひご来店された際は味わってみてください。 コンシェルジュに理想の旅を相談できる――各フロアーの魅力やアピールポイントを教えていただけますか? 司:この建物は少々複雑な構造になっていてます(笑)。まず、入口を入ってすぐの1Fに「猿田彦珈琲」さんの店舗があり、こだわりのコーヒーや関連商品をご提供しています。少し階段をおりたMB1Fには、book shop「旅にでる理由 by H.I.S.」を構え、ブックディレクター幅允孝さんがセレクトした約1500冊ほどの旅欲をかきたてる本が並びます。B1FはH.I.S.の「海外・国内旅行専門店」、B2Fはウェディング専門店「アバンティ&オアシス」です。1Fから階段をあがると、M2Fはビジネス・ファーストクラス専門店「CLASS ONE」と、いつもより少し贅沢で自慢したくなる旅をご提供する「QUALITA」、2Fに秘境旅行専門店「ネイチャーワールド」と、多彩なサービスを揃えました。 B1のH.I.S.のフロアには、15ヶ国以上を旅してきた経験豊富なコンシェルジュを配置。お客様の理想の旅を全力で叶えます。ウェディング専門店では、リゾートウェディングで一番人気のハワイのスペシャリストだけを揃え、結婚式はもちろん、ウェディングフォトサービスまでトータルでご提案しています。近年リゾートウェディングは、こだわりを求める方が増えておりますので、ビーチ以外にもガーデンウェディングや、バリや沖縄でみんなでヴィラに滞在する滞在型ウェディングなど、幅広いご提案をさせていただいております。 大橋礼奈さん(以下、大橋):この店舗は、ビル全体として“人生のさまざまなタイミングでご利用いただける場所”になっています。ですので、旅の初心者の方も旅慣れた方も、幅広い年齢層のお客様にお越しいただき、理想の旅と出会える場所、旅の魅力を再発見できる場所として楽しんでいただきたいです。 旅に出たくなる本を取り揃える本はテーマ別に並ぶ ――ブックディレクションは「旅に出る理由」がテーマだそうですが、具体的にどんな本が置かれているのでしょう? 司:写真集やガイドブックだけでなく、マンガ・絵本から学術書まで、多種多様なセレクトになっています。「アジア」「中東」など各方面に分かれた箇所と「絶景」「家族旅行」「一人旅」など、テーマに分かれた箇所で構成しました。めずらしいものだと、世界のキレイな図書館や書店、らせん階段を扱った写真集とか、ちょっとダークな「立入禁止をゆく」など。クジラが出てくる絵本やマンガもあります。 本の一部 大橋:マンガですと「ドラえもん」の「のび太の結婚前夜」があるんですが、“結婚”という大きなテーマで、結婚を考えている方に響くものとして置いています。偶然の出会いをたくさん提供したいとの願いから、バラエティー豊かに取り揃えました。 猿田彦珈琲さんの店舗前のイベントスペースでは、毎月テーマを設け、テーマに沿ったディスプレーに加え幅さんにはテーマに沿った本を選書していただいております。11月のテーマは「世界の年越し特集」。すでに終了してしまいましたが、10月のテーマは「世界のカフェ巡り」でした。猿田彦珈琲の代表取締役である大塚さんがオススメする、パリのイチオシカフェのマップをH.I.S.のパンフレットに掲載し、そのカフェに徒歩圏内で行けるホテルに宿泊するプランも限定でご用意しました。毎月、幅さん、猿田彦珈琲さんとアイディアを出し合いながら、選りすぐりの情報をお届けしますので、どうぞ楽しみにしていてください。 年代も幅広く、来店数が増加――オープンされてからの反響はいかがですか? 司:より間口を広げた店舗作りを意識したおかげで、ご来店いただけるお客様の数は圧倒的に増えました。表参道という場所柄、オシャレで感度が高い方が多く、10代〜シニア層まで幅広い方にご利用いただいています。意外と男性の方が多く、おひとりでご来店されることも。「実際に旅に出たくなった」という声も聞かれますし、「幅さんが選んだ本ならまちがいない!」と仰って、2〜3冊まとめてご購入された方もいました。 座席スペースは26席あり、ゆったりとした作りになっています。14〜16時はとくに混み合っているので、それ以外の時間ですと、比較的落ち着いてご鑑賞いただけることが多いでしょうか。カフェとタイアップされる旅行会社はほかにもあるんですが、弊社は「店舗に訪れたことで旅に出たくなるような空間」をご提供することにこだわっています。多彩な切り口で旅行先を見つけるご提案をしているので、ぜひ足を運んでいただきたいですね。 大橋:旅行は誰しも頻繁に行けるものではないですが、「いつか行きたい」って気持ちだけでもいいので、日常生活のなかで旅に触れる機会を作ってみてください。普段、なかなか旅行に行かないという人にこそ、ぜひ訪れていただきたいです。そして、とびきりのワクワク感を味わってください。スタッフ一同、心よりお待ちしています。
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