アメリカ人アーティスト、Leah Hayesさんが中絶について啓蒙した絵本が海外で話題になっています。 中絶は他の誰でもなく、あなたが決断したこと彼女が発表した絵本「Not Funny Ha-Ha: A Handbook for Something Hard」は、外科手術と中絶薬、それぞれの方法で中絶した2人の女性の物語。そしてシンプルな絵とともに、女性が中絶をするに至るプロセスや葛藤を描いています。「妊娠した経緯や、中絶を決意した理由、パートナーや家族の有無は関係なく、最終的にあなたが決断したことであり、その事実について他の誰にもとやかく言われるべきでもない」という強いメッセージが印象的です。 Leahさんはこの絵本の製作意図について、女性にとって非常に大変な人生の決断を目に見える声として届けたかったと言います。それは、中絶経験者も含めたすべての人に向けてです。「中絶には、混乱、恐怖、そして時には孤独の過程が伴います。私はこの絵本で中絶と言う議題に光を照らしたり是非を定義したりしていません。中絶を経験したことのある誰かが、孤独を感じないようになってくれればと思っています」と語りました。 ユーザーからは称賛と疑問の声この絵本を知ったユーザーからは、 ・中絶を決断するのはものすごく怖いもの。その心の声やプロセスが、この絵本によって多くの人に知られるのは良いことだと思う ・それぞれに理由や事情はあるわけで、中絶をする女性が自らを責めたり孤独に思ったりしないでほしい ・中絶は是か非かではなく、どんな理由があろうとも子を産むその女性の主観に依るのだということ
といった絵本についての肯定的な声が多くあがりました。しかし一方では、 ・中絶をしないように考えていくことの方が大切だ ・確かに本人の決断が優先されるべきだけど、父親であるパートナーの意見も聞くべき ・中絶方法というのは、絶対快適であってはならない。医学が進歩しても、肉体的苦痛やリスクを伴うものでなければ、命に関する他の問題も起こる ・どうしても中絶=殺人と捉えてしまう
といった中絶を決断する女性本人の周りにいる人間への考慮についてや、中絶の医療技術への疑問など、様々な意見が飛び交いました。 アメリカでは中絶の是非が選挙の論点アメリカでは女性の権利が主張されつつもキリスト教の考え方が根付いていることから、中絶の是非が選挙の論点とも言われています。先日は、妊娠中のアメリカ人女性が生まれ来る子の養育費をクラウドファンディングで募り、目標金額である100万ドルが集まらなければ中絶するという宣言をしていることで、ネットが炎上しました。 もちろん国や個人によって考え方は異なるかもしれませんが、望まない妊娠を避けること、経済的な問題、パートナー含めた家族の支援、将来的な育児などを複合的に考えていくことと並行して、「中絶は是か非か」という二極の議論だけではなく、この絵本のような表現からも、今まで見えてこなかったものが見えてくるのではないでしょうか。 参考記事:Huffington Post |