無償ボランティアの第三者から提供された卵子と、夫の精子で受精卵作製に成功したと、7月27日、卵子提供をあっせんするNPO団体OD-NET(神戸市)が発表しました。 ツイッターでは戸惑いの声もこのニュースに対しツイッターでは、戸惑いの声がみられました。 ・顔が見えない女性と旦那の子供……。きっと、性格も違うし顔も違ってくる…。それでも最後まで育てられるの? ・第三者による卵子提供で産まれた子が遺伝病や先天的な疾患をもっていた場合、それは誰の責任になるのか。 ・ボランティアの卵子提供、トラブルが起こって入院が長引いても支援が一切ないってどうなの? ……ボランティアの人が将来的にそのことで不妊症にならないかなど不安要素も感じるんだけど。
OD-NETでは、産まれてきた子どもが15歳になって希望した場合、卵子提供者の情報を知らせることを条件としたことから、子どもに配慮した声も見られました。 ・子どもには自分の親が誰なのかを知る権利があるし、デメリットやリスクへの覚悟が相当に必要。人それぞれの想いだが、あきらめて手に入るものもあるんじゃないかな。 ・生まれてきた子どもの葛藤を考えるとできることではないと思う。技術があるからなんでもやっていいとはならない。
誰が母なのか日本産婦人科学会理事の吉村泰典医師は自身のホームページ(吉村やすのり・生命の環境研究所)にて、採卵時に使う排卵誘発剤の副作用、7日以上の通院が必要なこと、卵巣過剰刺激症候群の副作用、またその保障体制が整っていないことを挙げ、卵子提供ドナーを探すことの難しさを指摘しています。 「卵子提供による体外受精における親子関係の法律はありませんが、これまでは分娩・母ル−ル(※編集部注・産んだ女性を母とする)が適用されていることもあり、精子提供による生殖補助医療ほど、大きな問題となることはありませんでした」(HPより抜粋)
現在、遺伝的につながりのある女性が母か、出産した女性が母か、民法上の規定がないため、卵子提供による母子関係の法整備が進んでいないこと、子どもの知る権利をどのように保障していくか、と述べています。 ツイッターでも、「親子」のあり方について考える声がありました。 ・第三者卵子提供、夫婦いずれかと遺伝子がつながった子どもが欲しいって気持ちを理解したいとは思うけど……。里親制度や養子縁組をもっと充実して欲しいな。 ・血縁がなくても「家族」として成立すると、私は思っている派。不妊治療とか代理出産とかの問題だけではなく、血縁ではない人の集まりによる「家族」も認めることは未来の一つの形だと思う。 ・技術はあるけど、法整備はまだまだ先になりそう。真剣に考えているだけに、全く他人事ではない。でもこれ、卵子提供者は自分の子供がいる者に限る、とか、やはり同性パートナーは想定されてないね……。
不妊治療経験者の3割が「検討したことがある」産婦人科医の宋美玄医師はツイッターで 「日本でも第三者の卵子提供が行われ、法整備も進む方向との見方も。今は早発閉経が対象だが高齢不妊にも拡大するのか注目したい。ボランティア提供者のリスクも不安。」
と、不妊治療の今後の可能性についても言及しています。 女性のための健康生活ガイド『ジネコ』が2015年3月に実施したアンケートでは、不妊治療経験者の3割が、卵子提供による不妊治療を考えたことがあると回答しています(回答数205人、回答者の90%が不妊治療経験者、平均年齢38歳)。 また、海外やエージェントを通じた不妊治療について「調べたことがある」が54%に上りました。 2013年には、厚生労働省研究班が、年間300〜400人が卵子提供で誕生していると推計しています。 日本産婦人科学会では、2009年に「第三者配偶子を用いる生殖医療についての提言」をまとめ、必要としている夫婦が一定数存在するならば提供配偶子を使用した治療を実施する合理性があるとし、国は生殖医療に関する公的管理運営機関の設立と民法上の法的親子関係を明確化する法律整備について至急取り組む必要があると述べています。 それから6年。法整備の進展が見られない中で、OD-NETは年内にも受精卵を女性の体に移植すると発表しています。法の整備も含め、今後の進展が注目されます。 |