セクシュアル・マイノリティーズとの付き合い方について、短いストーリー形式で考える連載「LGBTsさんといっしょ。」私こと「まきむぅ」と、私の妻である「モリガ」との会話をもとにお送りします。おしゃべりする気分でいっしょに考えていきましょう。 今回のテーマはこちらです。 「男友達が生理用品を持ってた! 一体なんのためなの?」 Q.最近知り合った友人男性が、カバンに生理用の紙ナプキンを入れているのを偶然見てしまいました。ポーチに入れて持ち歩いてたので、絶対に自分用だと思うんです。どういうことなんでしょうか? 本人に聞くわけにもいかず、友達づきあいをやめるべきか迷っています。 そういう趣味だってもちろんある、けど……まきむぅ「私なら男友達が趣味でナプキンつけてても、全然気にせず放っておくかな。生理用ナプキンフェチならフェチで、自分の好きなように楽しめばいいと思うのよ、嫌がる他人に強制しない限りは。別にそいつの勝手じゃない?」 モリガ「まぁそれはそうだけど、それにても今回の場合は、おそらく“趣味”じゃないんじゃないかな」 まきむぅ「なんで?」 モリガ「趣味でつけてるだけなら、交換用のナプキンを持ち歩く必要性がないからだよ」 イラスト:小池みき 生理用ナプキンは、女性の生理のためだけに使われるわけじゃないまきむぅ「まぁ、冷静に考えてみれば、生理用ナプキンって生理以外にもいろいろ用途があるわよね。もうひとつ言ってみれば、生理があるのは“女”だけじゃないしね」 女性の生理以外で生理用ナプキンが使われる場合 1.FtM(女性とされて生まれ、男性として生きる人)が、子宮卵巣摘出手術をしていない/男性ホルモン投与を始めて日が浅いなどの理由で生理があるため 2.MtF(男性とされて生まれ、女性として生きる人)が、人工膣をつくる手術をした後であるなどの理由で出血があるため 3.性別問わず、痔や尿もれなどに対応するため モリガ「病気とかで分泌物がある場合だと、お医者さんもナプキンをすすめるみたいだね、患者の性別に関係なく」 まきむぅ「うん。それにね、今回は『男友達がナプキンを持っていた』っていう話だけど、そもそも友達が男なのか女なのかをどこで判断してるのかって話よ。自分にとって『男友達』だと思えても、その人が自分を男として認識しているかどうかは、見た目からはわからないものよ。『中学の時の男友達が、久しぶりに会ったら女になってた』なんて話、たまに聞いたりするじゃない?」 モリガ「本人が自分の性別をなんだと思っているか(性自認)と、どういう性別に見えるようにしているか(性表現)は別ってことだね」 まきむぅ「っていうことで、『この人は男に見えるから○○なはず』『この人は女に見えるから○○なはず』っていう判断は確実じゃないんだと知っておいた方がいいわよね」 人が隠しているものを、無理矢理見ようとしないことまきむぅ「とはいえ、確かに、『男友達』だと思ってた人が生理用ナプキンを持っていたら、びっくりすることもあるかもしれないわね」 モリガ「ナプキンは“男から隠さなきゃいけない物”だと思ってる人って少なくないからね。ただでさえ、男の店員がいるレジでナプキンを買えないとか、生理中で辛いのに男の家族や彼氏には『ナプキン買ってきて』って頼めないとか、よくある話だもん」 まきむぅ「ね。でも、『そういうタブー意識を捨てろ!』とかいう話をしても仕方がないんだと思うのよ。ただひとつ知っておくべきなのは、『女でなくても生理でなくても生理用ナプキンを使う人はいるということ』じゃないかな」 モリガ「そうだね。男友達がナプキンを持っていても、それで友達づきあいをやめるとか、なんで持ってるのか問い詰めるとかは、しなくていいことだと思う。カバンに隠していたものが偶然見えちゃうことはあるけど、それを無理矢理見ようとしないことだよね」 今回のまとめ女でなくても、生理でなくても、生理用ナプキンを使う人はいます。 ×「男友達が生理用品持ってた……実は女なのかな!?」 ×「なんで男なのに生理用品持ってるんだろう、追求しなきゃ」 人にはそれぞれの事情があります。本人が隠しているものを見てしまっても、無理に探ったりしないことです。 ○(まぁ、そういうこともあるよね) ○(体のことだから、話したくないのかもしれないよね) |