日本時間7月6日の朝、FIFA女子ワールドカップ カナダ2015決勝が行われ、日本は残念ながらアメリカに敗れて準優勝という結果でした。表彰式ではアメリカ女子サッカー代表が、子どもや同性パートナーと一緒に優勝を喜ぶ姿がありました。 出産後、現役復帰する選手が多い実はアメリカには、結婚して子どもを産んでから現役に復帰している選手がたくさんいます。それは、1996年頃に始まった遠征や海外試合に子どもを連れていくことを可能にするプログラムがあるからなんです。これは、子どもを持つ選手が遠征に連れてくるベビーシッターの費用をチーム、もしくはスポンサーが負担するというもの。 もちろん、当初はチームの宿泊施設の中に子どもがいることで、他のチームメイトや関係者に迷惑がかかるという懸念や、夜中に授乳したり子どもに起こされたりして、試合に備えてゆっくり休むことができないと指摘されることもあったそう。しかし現在では、女性スポーツ選手における当然の権利として認められており、子どもと過ごす時間が増えることをアメリカサッカー界は支援し続けています。それによって、才能ある選手が出産や育児のために引退することがなくなったのです。 同性愛のパワーも後押しにまた、先日アメリカの最高裁で全州において同性婚が合憲との判断が下されましたが、アメリカ女子サッカー代表にも同性愛者の選手がいます。2013年に代表のチームメイトと同性婚をしたアビー・ワンバック選手や、2012年のロンドンオリンピック開幕直前に同性愛であることをカミングアウトしたミーガン・ラピノー選手などです。 ラピノー選手は、アメリカ最大のゲイ雑誌『OUT』のインタビューにおいて「スポーツ界は特に男子において同性愛者がカミングアウトしづらい状況がある。尊重してもらうためにも、告白することは私の使命である」と話しました。そうした、自分のライフスタイルを崩さずにサッカーに打ち込む姿もまた、ピッチ上のプレイ同様に多くの人から応援される所以でしょう。 男子サッカー同様に、家族が強さの源になる男子サッカー選手は一般的に、食生活や精神的な安定のために家庭を早く持つと言われていますが、守るべき存在であり精神的な支えである家族がそばにいることが世界で戦い抜く力になるのは男女共通。多様な価値観が理解され、どんな性的指向を持っていようとも差別なく応援できる空気もまた、選手を後押しするはずです。 今回のワールドカップ優勝によって、出産後も世界のトップレベルでサッカーができるということをアメリカが示しました。技術面や若手選手の育成も重要ですが、日本女子サッカー界はこうした有能な選手が出産後もプレイし続けられるシステムを取り入れ、ママパワーを存分に引き出すことも、次のワールドカップ優勝のカギとなるのかもしれません。 |