昨今、「肉食」「草食」「絶食」と、恋愛やセックスに対する貪欲さをバロメーターとしたジャンルが確立されてきました。「草食男子」は恋愛やセックスへの欲求が低い男子を指します。一方、話題の「絶食男子」は交際経験やセックスをしたことがない男子のことですが、彼らには決して性欲や恋愛欲求がないわけではありません。 これらは、人間には「健全な性欲」がある、とする考えに基づいてジャンル分けされているのですが、いまだ誰一人「健全な性欲」とは何かを立証していません。 さらに今、別ジャンルとして「中年童貞」「高齢処女」なる方々も登場してきました。読んで字のごとし、中年期になっても童貞・処女を保持している人たちです。ハリウッドでも、40歳のバージンさんや童貞君を描いたコメディー映画が人気を博しています。 イギリス男子の初体験は14.9歳日本では弱い男子像が多く報道されていますが、筆者の住むイギリスではどうでしょう? 健全な性教育と性病予防に取り組むチャリティー団体のFPAによる2009年の調査だと、イギリスにおける初体験の平均年齢は男子で14.9歳、女子で15.9歳と男子の方が早熟だと結論付けています。そして80%の若者が24歳までの間に初体験を行ったと発表しました。 イギリス男性を代表するイケメンにデヴィッド・ベッカムがいますよね。彼は整形手術をしたことも認めるほど自身の容姿に気を使っています。彼にならってか、自身にお金と時間を費やす男性が急増し、彼らは「メトロセクシュアル」と呼ばれ90年代後半にまた新しいジャンルを確立しました。彼女そっちのけで自分磨きに精を出す男子達で特に20〜30代男性に多く見られます。 自分以外に興味がない「スポルノセクシュアル」そして昨年頃から、さらに進化した「スポルノセクシュアル」という男子が出現しました。スポルノとは「スポーツ」と「ポルノ」をあわせた造語で、体作りに励み、自身の体を眺めるだけでポルノもいらない、という究極のナルシスト男子たちです。彼らは異性愛・同性愛問わず、自分以外に興味を持ちませんし、彼らが付き合う相手は自分を信奉してくれる人でないといけません。鼻持ちならないヤツらですが、美しいことは間違いありません。 恋愛感情も性欲ももつことがない「アセクシャル」スポルノセクシュアルは個人の意思で始めたり止めたりできますが、他人に恋愛感情や性欲を持つことがない人たちも存在します。それが「無性愛者」「アセクシュアル」と呼ばれる人たちです。「サイコロジー・トゥデイ」の記事によると、アセクシュアルは世界人口の1%ほどいるそうです。自分の意思でそう決めたのではなく、もともと全くそういった感情が浮かんでこないということです。 この記事を書いたジュリーさん(女性)は自身のアセクシュアリティーと20年間向き合ってきました。他のアセクシュアルの人とも話し、アセクシュアルについての理解を広めようとしています。彼女も含めてアセクシュアルの人に共通していることは、家族や友人に「恋愛感情も性欲もない」と説明しても、返ってくるのは「おかしいんじゃないの?」といった反応ばかりで、拒絶と言うよりも「憐憫の情」のようなものを向けられることへの悲しさだそうです。 精神科やセックスセラピストに相談をしても、ホルモン注射で性欲を上げる、といった「低い性欲への治療」を提案されるだけで、本質を理解しようとしてくれないと嘆いています。彼女たちはそうである自分たちをただ認めてもらいたいだけなのです。 これだけ性に多様性がある昨今、私たちの中で複雑な理解力がより求められています。あなたの周りにも多くのセクシュアリティーの方々がいるはずです。偏見なく全ての人達をリスペクトしてくださいね。 |