筆者は東京の地下鉄の中で3回も携帯や定期入れを紛失し、その全部を「忘れ物窓口」で取り戻すことができた。この話を外国人にするととんでもなく驚かれるので、日本という国を説明するときに自慢げに話すのだが、海外では忘れ物が戻ってくることはまずない。 パリの路上で盗まれたiPhoneが売られている特に筆者の住むパリでは、そもそも落とさなくてもスラれることが多い。また、スリに慣れていない日本人を十分見抜いていて、財布だけでなくiPhoneを狙うのが流行しているのだ。スラれたiPhoneは闇で売られているようで、パリの路上で移民のおじさんが何食わぬ顔で200ユーロ程(約2万6,000円)で販売していたりするらしい。実際にそれを購入してしまった友人が話していた。 だから海外では落とし物が、元の持ち主へ戻るなんてことがあれば奇跡のストーリーとして語り継がれることになる。 日本へ渡ったアメリカ人男性のiPhoneが戻ってきたアメリカのオクラホマ州で農業を営む男性が、去年紛失したiPhoneを8か月後に取り戻したニュースが話題になった。 そのアメリカ人男性が紛失したiPhoneは、作業していた時の穀物の中に落ち、そのまま日本に流れ着いたという。さらに、それを発見した日本人作業員が米国支社まで送り返し、無事に持ち主の元へ帰って来たというのだ。 なんと律儀な日本人だろう。流れ着いた国が日本でなければ、大事な家族の写真データがたくさん入ったiPhoneが彼の元にもどることはなかったかもしれない。 13年の年月を経て持ち主が発見された結婚式の写真他にも13年の年月をかけて持ち主の元に大切なものが戻ったという奇跡のエピソードがある。 ニューヨークの911テロの現場で見つかった、誰のものか分からない結婚式の写真が、ツイッター上での検索でようやく持ち主を発見されたというのだ。 あの事件からもう13年も経つ中で、8万回以上ものツイートを経て行き着いた持ち主は「当時77階のオフィスで働いていたときに、私のデスクに飾っていた写真だったんですよ!」と喜びの声で答えている。 また、幸運なことに写真に写っていた新郎新婦、そして式の参加者全員がテロの影響を受けずに生存したこともわかっている。 忘れ物が見つかって当然だと油断している日本人のみなさん。それは日本では当たり前のことですが、海外だと奇跡の事件となることをお忘れなく。 |