(C) 2014「渇き。」製作委員会
世間を震撼させている佐世保の同級生殺害事件。被害者を憎んでいたわけでもなく、ただ「人を殺してみたい」という欲望からの凶行だったことが明らかになり、思春期の十代の精神のグラつき、危なさが語られていますが、思春期の振り子が狂気へと振り切ってしまったがゆえの事件かもしれません。 佐世保事件と似ている映画『渇き。』この事件の凶暴性や十代の闇を知るにつけ、思い出されるのが映画『渇き。』(中島哲也監督)です。この映画で残酷な行いを繰り返す十代の少女の家族と佐世保事件の家族はまったく正反対ですが(佐世保は名士の一家、映画は元ダメ刑事とダメ妻の元夫婦)、親が子供を守りきれなかったところが似ているような……。 おそらくアラサー女子のみなさんは、佐世保事件で子育ての難しさを知り、子供を持つことが怖くなった人がいるかもしれません。そこで、これから親になるであろう、アラサー女子のみなさんが心がけておきたいことを、この事件を通して考えてみましょう! 優等生だからこそ、放っておかないで!勉強もできる、スポーツもできる、芸術的なセンスもある、何でもできた超優等生の加害者少女は、自分の好奇心をより満たしてくれる何かを求めていたのでしょうか。普通の人が努力し続けなければ得られないものを簡単に得られるほど才能豊かだった少女は、よりハイレベルなものを求めたのでしょう。天才はそれを芸術に求めたり、発明の分野に求めたりしますが、彼女は何かボタンの掛け違いで闇へと走ってしまったのかもしれません。 親は子供が優等生だと安心します。不良だったり、勉強が苦手だったりしたら心配するし、「この子を何とかしなくちゃ」と気にかけますよね。でも優等生だと「この子は大丈夫!」と過信してしまうものです。加害者少女の親は地元の名士、おそらく小学校で異物混入事件を起こすまで、できる娘は大丈夫だと思い込んでいたかもしれません。でも優等生は大丈夫じゃないのです。 どんなときでも子供から逃げないで!加害者少女を守っていたのは、おそらく仲のよい母親だったのだけれど、その母が亡くなったとき、彼女を守っていた壁が崩れてしまった。『渇き。』では、ヒロインの両親に問題があり、ほぼネグレクトのような状態でヒロインの娘は放っておかれていましたが、佐世保の事件も似たようなもの。 異物混入事件や動物の解剖や父親をバットで殴る暴力行為をしたにもかかわらず、娘を精神科に入院させず(医師から同居は危険と言われた、入院できる病院がなかったなどの話もありましたが……)、よりにもよって危険な状態のまま、一人暮らしさせていますからね。子供の様子がおかしいと感じたら側にいてあげることは一番大事。逃げてはダメなのではないかと思うのです。 アナタの思春期を思い出して!「もしも自分の子供があんな風になったら」「思春期の子供は難しくて怖い」 これから母になるかもしれないアラサー女子のみなさんがそう思う気持ちはわかります。でも全ての親がそう思いながら子育てをしています。そしてあなた自身も、そんな危なっかしい思春期を通り過ぎてきたのです。 自分が思春期にイライラしたこと、親に反抗したことを思い出してみましょう。両親はどう接してくれましたか? 親子それぞれ様々なぶつかり合いをしたでしょう。でもぶつかりあいはコミュニケーションでもあり、それがない方がかえって怖いです。 両親が反面教師になることもありますが、自分がしてほしかったことをしたり、自分がされて嫌だったことはしなかったり……と考えながら子供に接するだけでも親心は伝わる……と信じたい。佐世保の事件のみならず、子供が道を踏み外さないように守るのは親です。 『渇き。』を見ればわかりますよ。親が子供にまったく興味がなく、守る気持ちがないと、思春期の子供は悪い方に簡単に暴走していきますから。この映画はフィクションですが、あながち嘘ではないと思うのです。 『渇き。』(公開中) |