(c)「ミセス インガを知っていますか」製作委員会 子宮頸がんを発症した女性が、自身の体験を基に企画した映画『いのちのコール〜ミセス インガを知っていますか〜』。この映画を企画した渡邊眞弓さんは、2009年に子宮頸がんを発症。彼女は娘さんに検診の大切さ、生きることの素晴らしさを伝えたいと手記を発表し、闘病生活をしながら、映画化を実現させました。 この病は近年、20〜30代の女性に増加しています。発見が遅れると命にかかわる病なのに、偏見の目で見られることも多い病なのです。それはなぜか? 映画『いのちのコール〜ミセス インガを知っていますか〜』で描かれる、子宮頸がんの真実とは? もっと早く発見していれば……子宮全摘出したヒロインこの映画でヒロインのたまきが発症する子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因。このウイルスは性交渉によって感染しますが、セックスの経験のある女性なら多くの人が持っている一般的なウイルス。HPVは100種類あり、その中の「高リスク型」が子宮頸がんの発症に関係します。 免疫力でウイルスは排除されることが多いけれど、子宮頚部に留まってしまうと子宮頸がんになるわけです。映画では、結婚式前に子宮頸がんがわかったヒロインのたまき(安田美沙子)は子宮を全摘出します。たまきと婚約者は我が子を抱く夢を結婚直前に奪われてしまう……。でも、もっと早く発見していれば防げたことなのです。 セックスで感染する事実が偏見の元凶になる子宮頸がんはセックス経験者なら誰もが発症する可能性がある病。しかし、高校教師のたまきは同僚の教師から偏見の目で見られます。「子宮頸がんだなんて、恥ずかしい病気」と言われ、夫まで、彼女の過去の恋愛を気にするようになってしまうのです。病に苦しみながら、この偏見に耐えるのはキツイ! だからこそ、子宮頸がんの正しい知識が必要なわけです。別にセックス経験が多いからなる病気ではなく、愛する人に一途な女性だって、セックスを経験したら感染する可能性はある。そこを勘違いされると患者は本当に辛いし、たまきのように自殺を考えることだってあるのです。 子宮頸がんに苦しむ女性の声に耳を傾けて!傷ついて絶望的な気持ちになったたまきは、大好きなDJマユミ(室井滋)の番組にリスナーとして電話をし、マユミの励ましに心を開いていきます。病の苦しさは本人にしかわからないけれど、話を聞いてあげることは誰にでもできるはず。 映画では、DJのマユミの言葉だけでなく、子宮頸がん経験者のリスナーからのコメントもたまきの心を癒してくれます。同じ経験をした人の話は、病に苦しむ患者にとって大きな力! 苦しいときは助けを求めたり、子宮頸がん経験者の話を聞いたり、逆に積極的に繋がりを持とうとすることが大事かも。たまきもマユミと繋がりを持ったからこそ、生きる力を得ましたからね。 大竹しのぶも子宮頸がんで苦しんだこの映画のヒロインを演じた安田美沙子さんは子宮内膜症で通院していたそうですが、芸能界でも女優の大竹しのぶさん、原千晶さん、仁科亜季子さん、洞口依子さんなど子宮頸がんに苦しんだ人は少なくありません。子宮頸がんは、今、女性にとって珍しくない病なのです。 この映画の企画者である渡邊眞弓さんはクランクイン前に亡くなりましたが、この映画は渡邊さんの遺志を継いでいます。それは、子宮頸がんは早期発見で治る可能性は高まるということです。 アラサー女子のみなさんには、ぜひこの映画を見てほしい。ヒロインが抱える子宮頸がんの肉体的&精神的なプレッシャーと、絶望的な気持ちをどうやって克服したかを知ってほしいのです。見れば絶対に「検診行かなくちゃ!」と思うはずですよ。
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