ゴールデンウィークも近づいてきて、旅に出かけたい気分が盛り上がってくる。格安航空会社(LCC)が続々と路線を拡張していることもあり、海外旅行はいっそう身近なレジャーとなっている。一方で、それに伴うトラブルは少なくない。「自分だけは大丈夫」と思わず、危険な目に遭う前に、どんな犯罪に注意すべきか知っておこう。 日本人は犯罪者が狙う「ブランド」マレーシア航空機の行方不明事件では、盗難パスポートで搭乗した人物がいたことがニュースになったが、実は日本人のパスポートはアングラ市場では高値で取引される人気商品なのである。というのも日本人は信用度が高いので入国審査が緩く、入国が制限されている国も少ないからだ。 また、クレジットカードより「現金」で支払う傾向が強いことも広く知られている。多額の現金のほか、スマホ、カメラなども高級品を持ち歩いており、犯罪者から見れば「ブランド」として狙われてしまう。 手っ取り早く狙われるのが強引にカバンごと奪われるひったくり。「斜めがけにしておけばいいんでしょ」と言う人もいるが、これが間違いだ。犯罪者は腕力の弱い女性を狙い撃ちにしているので、多少の抵抗は無意味。狙われたら奪われると思って諦めないと思わぬケガをすることもある。できれば貴重品はホテルのセキュリティボックスに預けて、パスポートはコピーを携帯しよう。 女性グループだから狙われる!?海外旅行でのトラブルというと「友達も一緒だから大丈夫」という女性も多い。しかし、女性のグループだから巻き込まれる犯罪があるのだ。 それは「宝石詐欺」や「ポーカー詐欺」といった定番の詐欺。手口は、知り合った現地人が言葉巧みに自宅や自分の店などに誘い込み、クズみたいな品物を高額で売りつけてきたり、イカサマのカードゲームで負債を背負わせてお金をせしめようとするもので、外務省海外安全ホームページや老舗ガイドブック『地球の歩き方』でしついこいぐらいに注意されている王道トラブルだ。 この手口が定番になるのは、彼らのノウハウが熟練していてチームプレイが巧みなことの裏返しでもある。日本のオレオレ詐欺のようにわかっていても騙されてしまう人が出てくる。特に「少人数グループ」が被害に遭いやすい。実は3〜4人の集団はリーダーが生まれにくく、仲間割れをしないことを重視するので、他の人が「行こう」と言ったら、怪しいと思っていても同行してしまうからだ。牽引して判断する人がいないので、なし崩しに巻き込まれてしまう。特にグループで移動しながらスマホをいじる人と何もしない人の組み合わせは、意思の疎通がとれていないと見なされ、犯罪者的には狙い目だとか。 対策としては、誰に誘われても相手と何らかの繋がりを持つ場所(自宅や馴染みの店など)に招かれたら絶対に行かないというグループ共通のルールを最初に設定しておくことだ。被害に逢いたくなければ、「断るのは悪い気がする」という日本人的な発想を捨てよう。 海外では日本人の美徳がリスクとなることも一期一会の精神で、話しかけてくれたり、親切にしてくれた人との出会いを大切にしようとする日本人の精神性は美徳であると同時に大きなリスクともなることを知っておいてもらいたい。むやみやたらと近づいてくる人を誰でも信用することが国際交流ではないという認識は、安全に帰国するまで頭の片隅に置いておくべきだろう。 |