芸能人が闘病が相次いで報じられ、世間の注目が高まっている「がん」。自分や家族、恋人など大切な相手がそう診断されたら、どう立ち向かっていけばいいのか? 『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(PHP研究所)の共著者であり、瀬田クリニックグループ統括院長の後藤重則氏へのインタビュー後編。 『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(PHP研究所) 前編では、自分の免疫細胞を使ってがんを攻撃する「免疫細胞治療」の概要やメリット・デメリットをうかがった。後編では、がんと診断されたときに、どういった心構えをすればいいかを聞いた。 【前編はこちら】自分の細胞でがんを治す「免疫細胞治療」とは? 最先端の治療を医者に聞いた 「免疫細胞治療」の治療件数は増えてきている――前編では、「免疫細胞治療」には懸念点もあるというお話をうかがいました。現状では、治療を受けられている患者さんの数はどのくらいなのでしょうか。 後藤:早期発見できた方でこの治療法が必要ない方ももちろんいらっしゃいますが、年間にだいたい50万人ががんになるとすると、そのうち1%くらいの割合の方が治療法として選択されています。我々の開院当時と比べると医療界での認知度や病院の数、治療件数は増えてきていますが、それでもすべての病院で治療を行っている訳ではないことや費用の問題で、治療を受けたくても受けられない人がいることは事実です。 瀬田クリニックグループ統括院長・後藤重則氏 がんを治療していく上で必要な心構え――自分ががんだと診断されたらものすごくショックで怖くなると思いますが、治療にあたって、患者はどういった心構えでいるといいのでしょうか。 後藤:進行して治せないがんを持っていらっしゃる患者さんは珍しいことではありませんし、抗がん剤でもがんを完全に治すまでに至る薬は少ないのですが、「治せない」と聞くと非常にショックで落胆すると思います。ただ、治せないとわかっても80歳まで生きられるのであれば、がんが治っていても治っていなくても寿命は大して変わらないですよね。実際は、病気の中には治せない病気の方が多いんです。糖尿病でも薬を飲みながら治療をしながら天寿を全うする方はたくさんいます。がんも一緒で、進行してからでも数十年と非常に長く生きていらっしゃる方も少なくありません。 さらに治療法も薬も毎年良いものが出てきています。数年、数十年で医学がどう進歩していくかわからない。先のことはわからないけども、「良い意味でわからない」と思うことが大事で、あまり深刻に落ち込む必要はないと思います。 ――そう聞くとすごく安心できますね。患者の家族や周囲の人間についてはどうでしょう。 後藤:気休めではなく事実なので、ご家族やお友達にもそのように理解してほしいです。がんでよく聞く「余命○○年」というのも現代医学での余命であって、来年になったら変わってきます。余命なんて健康体の人でもある訳ですから。もちろん、周りから沈んでいったら本人が立ち上がれなくなりますから、皆で前向きに捉えていくことがとても大事になってきます。どんな治療でもいかにクオリティオブライフを大切にして、がんと付き合っていくかという考え方を持ってほしいです。 ――本書でも女性特有のがんを紹介していますが、最後に20代〜30代の女性で増えているがんを教えてください。 後藤:肺がんや大腸がんなど、いろいろながんに共通して若年化しているのですが、女性特有のものでは、やはり乳がん、子宮頸がんなどは若い人にも増えています。子宮頸がんに関しては、性交渉の低年齢化やウイルスの蔓延などが原因だと思われます。女性芸能人の話題もあって乳がんに関しては検診の意識が高まっていますが、子宮頸がんの検診もとても価値が高いものです。大きな痛みもなければ時間もかからず簡単ですし、直接細胞を採取するのでがんを見逃すといったこともほとんどありません。早期発見の確率が高いのが子宮頸がんですので、ぜひ検診には行っていただきたいです。 |