厚生労働省の調査によると420万人(およそ30人に1人)がネット依存の可能性があると推計されています。なお、上記調査における質問項目を見てみると「気がつくと、思っていたよりも長い間ネットをしていることがある」「ネットの無い生活は退屈でむなしく、つまらないものだろうと恐ろしく思うことがある」「ネットをする時間を減らそうとしても、できないことがある」……心当たりがある人も多いのでは? 自分を不幸せにするようなネット利用をさせられていない?そもそもネットは「ツール」で、使いこなすためにあるものなのに、気がつけば既読スルーを気にしたり、SNSで自分と友達の反響数を比較して欝になったり、嫌いな有名人や、知り合いの書き込みをチェックしてイライラしたり、あえて荒れている掲示板を見たり、「釣り記事」と分かるようなネット記事にまんまとひっかかったり……など、なぜか、自分を不幸せにするようなネット利用をさせられていないでしょうか? また、これは向学心の強い人が陥りがちなのですが、ビジネスサイトなどで時代の論客の意見などを休日に熟読し、賢くなったような気になるものの、翌週また似たようなことをしている、みたいなケースはないでしょうか? 著者も上記の例にすべて当てはまるネット中毒者で、あるとき、ふと、死ぬまでこんなことしているのだろうか……と恐ろしくなりました。そこで一念発起し、ネットとの付き合い方を見直した顛末を書籍『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)としてまとめています。 1.自分にとって必要なサイトを3つに仕分ける節電ならぬ「節ネット」のポイントは、自分のネット利用履歴を「黒ネット」「白ネット」「無害」の3つに分けることです。「黒ネット」は見たあとにあなたを後悔させるサイト(いやよいやよも好きのうちも入ります)、「白ネット」はあなたを後悔させない、ためになったり、楽しいサイト、「無害」は夕飯のレシピ検索や電車時刻検索など、生活に必要なサイトです。 人によって「黒ネット」「白ネット」の定義は変わります。ある人には下世話にしか見えない内容でも、別の人にとっては楽しい情報かもしれません。公序良俗など考えずに自分の直感で仕分けしましょう。 2.「黒ネット」を減らし、「白ネット」が本当に有益か検証するまずは、「黒ネットを減らす」ことからはじめていくと、ストレスも少なく、スムーズに節ネットできます。 また、「白ネット」でも、先述したビジネスサイトのような、「ためになる」系もはまりやすい危険地帯です。ビジネスサイトに関わらず、口コミの商品やコスメサイトに夢中になったり、ウィキペディアのリンク地獄で遭難したりなど、知識を得ることは楽しくもあるのですが、いつもそんなことばかりしている、という人はここも減らしてみるのがお勧めです。 3.「後悔しつつも見てしまうサイト」について人に話し、客観視する最後に、節ネットに効く多数の技の中でも、お勧めのひとつに「人と自分のどうしようもないネット利用をおしゃべりすること」があります。私は家庭トラブルサイトが大好きだったのですが、人と話し、「へえ、私はそんなサイト見ないです」と冷静な反応をもらい、自分もどんどん冷静になっていけました。 自分が好きなサイトは好きなままでかまいませんが、後悔しつつも見てしまう、というサイトがあったら、ぜひ人と話しましょう。「あるある」と盛り上がっても、「私は違う」となっても、自分の利用について、客観視できます。 焦らずに、ネットが生んだ変な悪循環から抜けて健康にあらゆる依存と同じでネット依存も一朝一夕で解決するものではありませんし、私自身、今も「昨日はやっちまった」と思うことはたまにあります。ですが、そういったケースは減りましたし「やっちまった」というあとも、対応策を打てるようになりました。 何より、適度なネット利用ができていて、自分で自分をコントロールできている、という感覚は気持ちいいです。自分を悲しませたり、イライラさせたりするような情報に自分からアクセスしていく、というネットが生んだ変な悪循環から一抜けするのは、とても健康的なことだと思います。 |