(C) 2013 RHOMBUS MEDIA (ENEMY) INC. / ROXBURY PICTURES S.L. / 9232-2437 QUEBEC INC. / MECANISMO FILMS, S.L. / ROXBURY ENEMY S.L. ALL RIGHTS RESERVED. 仕事をしているとルーティンワークに飽き飽きすることありますよね。同じ時間に満員電車で通勤をして、同僚と席を並べて仕事して、いつもと同じようなランチをして、変化のない毎日。ドラマティックな出来事を求めたくもなる気持ちはわかります。 ねじれたミステリーとして評判の映画『複製された男』の主人公も平凡な日常に辟易している男です。そんなとき、ふと見た映画に自分にそっくりの男が出演していたのです。その男を執拗に追いかける主人公……。端役とはいえ、俳優をしている自分にそっくりの人物が気になるのはわかりますが、なぜ彼はその男に執着するのでしょうか? 人生をつまらなくしているのは自分の責任『複製された男』の主人公は大学の歴史講師です。美しい恋人もいるし、綺麗な部屋で生活をしています。正直、何不自由ない気ままな生活ですよ。でも仕事はたいしておもしろくないし、嫌なことはないけど退屈でウンザリしています。アラサー女子のみなさんにもいるでしょう。給料悪くないけど仕事はつまんないとか、恋人がいるけどやさしすぎて刺激が足りないとか「なんかいいことない?」っていうのが口癖の人。主人公もそういう男なわけですよ。 が、しかし、仕事は遊びではないから、楽しいことばかりじゃない。嫌な事や不満は誰でも抱えているものです。つまらない仕事をおもしろくするのは本人次第、行動を起こしたり、意識を変えたりしなければ、つまらないものはつまらないままです。『複製された男』の主人公も恵まれているのに、いつも表情はどんより、楽しみは恋人とのセックスだけ。でも、それがあるだけでも幸せなはずなんですけどね。 自分に不満な人ほどストーカー化していく?退屈しているときに、自分にそっくりの男を見つけた主人公は、その男を追跡します。そっくり男の正体が知りたいということもあるでしょうが、彼がどんな生活をしているのか見たいという欲求もあるのです。彼を追いかけて、家に入り込んで……って、ストーカーです。 自分に対して不満を抱いている人ほど、隣の芝生が気になるものです。そして自分と比べたり、嫉妬したりという感情が生まれていくのです。この映画はミステリーで主人公の行動にはあるトリックが隠されているのですが、それでもささいなきっかけから人の心は壊れていくというのがよくわかる。人間の弱さをえぐっているとも言えるでしょう。 主人公の退屈な感情に共感したら要注意!ネタバレになるので詳細は語れないのですが、そっくり男の正体は「え!」というような人です。この映画は、精神が壊れゆく一人の男の意識がさまよう様を描いています。その原因は、主人公の心の中の未練や叶わぬ願望などネガティブな要素が肥大していったからでしょう。この映画は、主人公の生き方の拙さまで言及していませんが、謎解きから離れて、主人公の生き方だけを追っていくと、「恵まれているのに、何を甘ったれているんだか!」と怒りさえ覚えます。そして主人公は実に今日的だなと思わずにいられないのです。 就職してもちょっと辛いことがあるとすぐ退職したり、転職を繰り返したり、他人の幸福をうらやんだり……という人多いでしょう。ネガティブな感情は病を誘い出しますからね。『複製された男』を見て「その退屈な感情……わかる」と思ったアナタは要注意! 闇に落ちる前に意識改革をして、自力で這い上がりましょう。小さなことでも「楽しい、うれしい」と思うことがあれば大丈夫。まずはささやかな幸福を見つけることが、あなたを暗闇から救ってくれるはずです。 |