梨花『NO.22』表紙より モデルの梨花さんが『梨花「NO.22」』という本を出版し、週刊で1万6000部を売り上げ、6月9日付オリコン“本”ランキングBOOK(総合)で8位にランクインしました。本のリリースにあわせて、『AERA』で表紙を飾り、「新しい40歳」の代表としてインタビューを受けています。また、『オトナミューズ』や『BAILA』など、ファッション誌の表紙を飾った数は250回を超えて、日本史上最多とのこと。いまや、本当に女性たちのミューズになった梨花さん。 でも、同年代でずっと彼女の活躍を見てきた人ならば、今の輝きっぷりは知りつつも、いつの間にこんな存在に!? と思っている人もけっこういるのでは。たくさんの大人モデルがいる中で、なぜ彼女だけが一人勝ち状態になったのでしょうか。 バラエティーからモデルに専念かつての梨花さんと言えば、『夜も一生けんめい。』や『笑っていいとも!』、『ロンドンハーツ』などのバラエティーでぶっちゃけ発言をするタレントというイメージも強かったはず。ところが、次第にモデル業に専念するため、テレビへの出演は控えるようになりました。 当時は、モデルからタレントになる人はいても、タレントからモデル業に力を注ぐ人は少なく、その路線変更はかなり珍しかったと記憶しています。最近卒業した『sweet』でも、誌面に登場してから表紙になるまでには、かなりの時間がかかったとのこと。一朝一夕ではなく、モデルという職業への真面目なアプローチが今になって身を結んだと言っていいでしょう。 二度の路線変更モデルとして、梨花さんは二度の路線変更をしています。1980年代、もともとは梨花さんは『JJ』や『CanCam』などのいわゆる赤文字系モデルでした。その後、30代に入って、『sweet』などの青文字系のモデルとしてモデル活動を強化します。そして、その『sweet』を2014年の4月号をもって卒業し、どちらかというと「リアルクローズ」路線の『オトナミューズ』の顔として、再出発。 このことを梨花さんは「自分自身で意識的に節目をつくり整理整頓してきた」と『BAILA』2014年4月号で語っています。この二度の卒業を経て、より等身大の大人たちのモデルとなった印象です。 “ママタレ”には頼らない梨花さんは2011年に第一子を出産していますし、子どもとの写真をInstagramにアップしたり、インタビューでも子育てについて語っています。だから、ママであることは日常の一部ではあるのですが、いわゆる“ママタレ”という方向性はとっていません。 “ママタレ”と言えば、芸能界でひとつのジャンルを築いていますし、大勢の中のひとりであったモデルやグラビアアイドルが、次のステージに行くきっかけにはなりますが、現在は飽和状態で、“ママタレ”になりさえすれば安泰というものでもありません。梨花さんは、あえて“ママタレ”というイメージに特化しなかったことで、ママだけでなく、女性全体からの支持が集まっているのかもしれません。 信頼できるセンスを磨いた梨花さんのタレントからモデルへの転身が成功して以降、オシャレを自称するタレントたちは、こぞって雑誌での連載などを持つようになりました。また、自身の私服で構成したスタイルブックなどもたくさん出版されました。ただ、これらのスタイルブックは、いまや、本職のスタイリストやエディターが出す本に人気を奪われつつあります。タレントといえど、本当にファッションが好きで、センスがないと認められない時代になったのでしょう。 最近もモデルは、Instagramでコーディネートやライフスタイルを発信して人気を得ることも多くなっていますが、梨花さんは2013年にブログからInstagramに移行。若者のファッションの情報源がInstagramになった今、その選択は間違っていなかったようです。 メッセージのある等身大の大人にそのInstagramで、梨花さんがあげたすっぴんの写真が話題になりました。その姿は、普段のカリスマモデルのイメージとは違った41歳のリアルな女性の姿でした。これを見た人々はネット上で「劣化した」「老けた」とさんざんに書きたてましたが、梨花さんは「昔の私だったら、周囲の声を気にして消したと思う。でも今はあえてそのまま残してる。だって、全部私だから」と『AERA』2014年6月9日号で語っています。 そこには、女性に対するメッセージもあります。いまや、アメリカでも、リアルガールがうける時代。年をとることを回避して「カワイイ」を目指したって、結局のところ、若い女性には「カワイイ」ではかないません。それよりは、年齢を受け入れ、世間の「若ければいい」という圧力にあらがうメッセージを持っているほうが、同性には支持されるのではないでしょうか。 第16代アメリカ大統領のリンカーンの「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」という言葉があります。これは、40歳になってもキレイでいなさいという意味ではなく、これまでの生き方が刻まれた自分の顔に自信を持つということではないかと思いますが、梨花さんのすっぴんのInstagramからは、そんなことを感じました。 |