2013年、日本では風疹が大流行した。国立感染症研究所のデータによれば、2010年には87件だったところ、2013年には1万5000件近くの感染が報告される異常事態となった。大流行の起きた原因として特に大きいのが、ワクチンを接種していない「谷間世代」の存在だ。 30歳前後の“谷間世代”は感染の可能性大現在、風疹の予防接種は2回行うのが原則だが、1990年4月1日以前生まれの人は、接種の機会が子どものころに1度あったきり。さらに1979年4月1日以前に生まれた男性は1度も接種したことがないため、患者の大半を20〜50代の男性が占めている。 だからといって、女性も無関係ではない。現在27?35歳の世代では、中学生の時に個別接種(個別に医療機関に出向いて受ける予防接種)を呼びかけられただけのため、接種率が低く、感染の可能性が高いのだ。 妊娠初期の妊婦が感染すると赤ちゃんに障害もなぜ、風疹の大流行が問題かというと、妊娠中の女性が風疹に感染すると、赤ちゃんが高度難聴・心疾患などの様々な障害が出る先天性風疹症候群で生まれる可能性があるからだ。先天性風疹症候群の件数は、前回流行した2004年には10件であったが、2013年は31件と約3倍に増えている。(参考データ:東京都感染症情報センター) 母子感染のリスクは妊娠の初期ほど高まることが知られており、まだ本人が妊娠に気づかない1か月目では50%以上の確率となっている。そのため風疹への感染で一番注意が必要なのは、自覚症状のない時期も含めた妊娠初期の女性なのだ。 妊娠を予定していなくても高いリスクしかし、注意が必要なのは妊婦や妊娠を予定している女性だけではない。風疹は、大人がかかると重症化しやすい感染症である。全身の発疹やリンパ節の腫れ、数日に渡る40度近い高熱や血小板の減少などの症状のほか、さらに重症化すれば脳炎になってしまうこともある。 また「症状が出なかった場合」も恐ろしい。自覚のないまま、妊婦やその他多くの人に病気を広げる感染源になっているかもしれないのだ。 予防接種は3月末までに!今回の風疹の大流行に際し、多くの自治体では予防接種に対し補助金や助成金を出すなどの対策を行った。その補助期間や金額には自治体により大きな差があるが、多くの場合は、この3月末で期間が終了する。 そんな中、今度は麻疹(はしか)が大流行しはじめているというニュースが入って来た。国立感染症研究所によると、その件数は2014年2月23日までに119件となっており、すでに2013年の合計である232件の半数を超えた。(参考データ:NIID 国立感染症研究所)小児病棟を期間閉鎖する病院すら出て来ているほどだ。 そこでオススメなのが、3月中に風疹と麻疹の混合ワクチン「MRワクチン」を接種してしまうことだ。風疹だけでなく、命に関わる重篤な感染症である上、インフルエンザとは比較にならない程の強い感染力を持つ麻疹の抗体もつけることができる。 助成については東京都感染症情報センターのサイトが参考になる。妊娠を予定していなくても、特に30歳前後の女性は周囲の友人や男性も誘ってぜひこの機会に予防接種をしてしまおう。 |