最近発表された決算では、すき家・松屋・吉野家など、大手チェーン牛丼店3社の業績が伸び悩んでいるという結果が出た。理由は原材料費の高止まりによる採算の悪化と、客足の伸び悩みが大きい。低価格競争による集客効果も薄れてきたという。 しかし、ひと昔前とくらべると、“女性にとっての”牛丼店はかなり身近な存在になってきているのではないだろうか。企業側も新店舗づくりでは全体の明るさを重視、ファミリー席を増やすなど、家族や女性層の取り込みを視野に入れている。また、10月末に吉野家が発表した新商品「コモサラセット」は小盛の牛丼とサラダを組み合わせたもので、女性ユーザーを意識した打ち出し方をしている。 女性客は2割前後、メインターゲットではないこうした女性客向けの施策の効果は上がっているのか、3店に電話取材したところ、松屋・吉野家では女性客はザックリいうと全体の2割程度、すき家はそういった統計は取っていない、とのこと。また吉野家では「コモサラセット」以降の女性客の伸びはまだ計測していないという回答だった。松屋の広報によると「女性のひとり客は感覚的には増えているけど、メインターゲットではないので、とくに“女性だから”というサービス・メニューはないです」とのことで、すき家の広報もほぼ同様の回答だった。 これは…牛丼チェーン店各社、ちょっともったいないんじゃないの!? ということで、今回は一般女性100名に牛丼店利用に関するアンケートを実施。実際に女性に人気の牛丼店とその理由、牛丼店に期待したいサービスなどを調査してみた。 すき家・松屋・吉野家の中で好きな牛丼店は?【1位】すき家…41% 【2位】松屋…31% 【3位】吉野家…28% 1位のすき家を選んだ理由で最も多かったのが「家に近いから」。さすが店舗数日本一、地の利があるようだ。次いで「ヘルシーなメニューが多いイメージ」「さっぱりめのトッピングがある」などが挙がった。 2位の松屋に関しては「牛丼以外のメニューが多い」「定食なら松屋が一番」など、牛丼以外のメニューへの支持が集中。また、「無料でお味噌汁がつくから」という理由も多かった。 3位の吉野家は「牛丼の味が一番好き」「肉とたまねぎが一番うまい」という女性が多数。好きなメニューも「牛丼」に集中した。 「早い・安い・ガッツリ食べられる」が忙しい女性にうれしいポイントまた、「どんなときに牛丼店を利用する?」という質問には、「時間がないとき」、次いで「ランチで節約したいとき」「夕飯を作るのが面倒なとき」「飲みの帰り」「ひとりでガッツリ食べたいとき」などの回答が見られた。現代人は忙しいと言われるが、とくに働いている現代女性にとって、「早い・安い・ガッツリ食べられる」という3点を満たす牛丼へのニーズはかなり高いよう。 “ひとり牛丼”はOKとNGが半々!気になるのが、女性の“ひとり牛丼”だが、「ひとりで牛丼店に行くことに抵抗はありますか?」という質問には、「常にある」「TPOによってある」を含む「抵抗がある」派と「抵抗がない」派がほぼ半々という結果だった。「抵抗がある」派は、「テイクアウトしかできない」「カウンター席でひとりはきびしい」と、店内でひとりで食べることに大きな壁を感じているようだ。 「牛丼店に期待したいサービス・メニュー」については、テーブル席の増設、ヘルシーなメニュー、スイーツメニューなどの増加、宅配サービス、そして衛生面の改善などがあげられた。最も多かったのが「女性でも入りやすい内装」を望む声で、「そうしたら今より多少高くても払う人はいそう」(34歳女性)という意見も。 忙しい現代女性にとって、牛丼店に対する潜在的なニーズは高い。吉野家では「エコ」「解放感」「衛生感」「機能性」の4つを意識した店舗づくりが進んでいるが、こうした動きによって牛丼店のイメージが変わっていけば、さらに女性の牛丼店利用が進むのではないだろうか。 |