「安くすぐに買えるモノ」があふれている時代。気づいたら「必要だから」「おトクだから」「なんとなく」という理由で買っている場合がほとんどなのでは? 一方で「一生、これと添いとげたい」と思えるような一品と出会った時の感動は、何ものにも替えがたいもの。女性のための特別な逸品を紹介していきます。 「添いとげたいモノモノ」初回は、オーダーメイドできる香水です。 代官山にひっそりとある香水店「LE LABO(ルラボ)」は、2006年にニューヨークで誕生したフレグランスブランド。日本には「LE LABO 代官山」の1店舗しかありません。 「その人の香り」として印象づく「ラストノート」を大事にしているというルラボ。「LE LABO 代官山」店長の折原潤子(おりはら・じゅんこ)さんにブランドや香水の選び方について聞きました。 「LE LABO 代官山」店長の折原潤子さん ラボが店内にあるから「ルラボ」「ルラボ 代官山」は、2007年にオープンしました。女性だけでなく男性も入りやすいシックで高級感のあるショップです。香水以外にもボディケア商品やキャンドルなども扱っていますが、すべてオリジナル商品です。 ――ルラボの香水にはどんな特色があるのでしょうか? 折原潤子さん(以下、折原):ルラボはニューヨークのブランドですが、大量生産・大量消費に反抗して立ち上がったスイス人とフランス人の2人組が立ち上げました。その名の通り、店内にラボ(調香室)があるのが特徴で、注文してから作るメイド・トゥ・オーダー方式をとっています。
奥に見えるのがラボ。手前には香水が並んでいる。 折原:香水は全部で16種類。「エルメス」や「コム・デ・ギャルソン」など、世界的に有名なブランドの香水を手掛けている最高峰の調香師8人がコスト制限なしに生み出した妥協のない香りばかりです。 年月を経るごとに深みを増していくワインと違い、香水は一定期間を過ぎると劣化してしまいます。最高の調香師が作り出した最高の香水を完璧に再現するため、お客様が香りを選ばれたら、その場で水、アルコール、香料をミックスして作りたてをお渡しするようにしています。
その場で調合してくれる。折原さんも訓練を受けたエキスパート。
繊細な作業により、新鮮で上質な香水が作られる。
香水の原料となるアヤメの根。静けさを感じる土の匂いがした。 折原:長時間にわたり残り続ける香りを「ラストノート」と呼びます。その人の印象になる香りのことですね。一般に香水はテスターに吹きかけた直後の匂いをかいで買っていただく場合が多いので、トップノートが重視されますが、「ルラボ」はラストノートを大事にしています。肌の温度となじんでその人らしく香るのが特徴です。 香水は“心を豊かにするもの”――香水は女性にとって大事なものですか? 折原:香水は、なくても生きていけるけれど、洋服やアクセサリーのように、あることで心が豊かになれますよね。日々の生活にドラマティックなことはそうそうない。でも、香水で気分を変えるだけで、日常の見え方がパッと変わるんですよ。だから、自分を変えたい方、新しいことを始めたい方、恋がスタートした方は、香水を買ってみるといいと思います。 香水の選び方のコツは……野生のバラをイメージした「ROSE」。「ルラボ」を代表する香り。
――自分に合う香水がどんなものかよくわかりません。選ぶ時のコツはありますか? 折原:どんな香りが好みですか? ――私は甘い香りが好きですが、それが自分に合う香りかどうか自信がなくて。 折原:実は、香り選びには直感が大事なんです。「好き」と直感的に感じる香りって、自然と自分に合うんですよ。内面から共鳴して五感が選び出してくれるんです。まったく自分に合わない香りを好きになることはまずないんですよ。 逆に、考えすぎてしまうと自分らしさからかけ離れてしまう場合があります。必ずしも、「自分に似合う香り」を選ばなくてはいけないわけではありません。「なりたいイメージ」で選んでもいいんです。香りは理想の自分に近づく道標にもなってくれます。 ――香水は「自分らしくあるために助けてくれるもの」なんですね。 折原:ブランドの香水はコレクションに合わせて新作が出ますが、「ルラボ」の香水は流行に左右されない普遍性が特徴です。20代は流行を追って最先端のものを手に入れたいという願望が強いですが、年齢を重ねるにつれ、「自分の好きなもの」が安定してきませんか? 30代以降は自分の中に「核」ができてきて、流行よりも「自分らしさ」を大事にする方が増えてきます。 自分に合った香水をカウンセリング――自分を知るためにも、自分らしい香りをまとうことの大切さがわかったような気がします。 折原:よかったです! 好きなものはなんですか? ――写真を撮ることですかね。時間を切り取ったときに画面に現れる、一瞬の表情にドキドキすることがたまらなく幸せで。 折原:それなら、“THE NOIR”もお似合いかも。ローズ、紅茶、月桂樹、いちじくのブレンドですが、瞬間瞬間で違う香りになるんです。ドキドキというところからこれがすぐに思い浮かびました。 ――ちょっと試してみていいですか? こうやってお客さんのお話を聞いて、提案していらっしゃるんですね。 折原:そうですね。ライフスタイルや、趣味、髪型、思考を雑談して、似合いそうな香りをこちらからもご提案しています。ちなみに、室内と外ではまた香りが違うので、外に出てみましょう。こうやって外に出られるのも、路面店ならではだと思います。
100mlが3万円、50mlが2万円、15mlが9,000円と、値段は一律。
ラベルの一番下のメッセージは、自分で選べる。 今回、筆者は2種類の香水を選びました。折原さんが選んでくれた「今の自分らしい香り」の“THE NOIR”と、「自分が憧れる大人のかわいさのある香り」の“LABDANUM”。自分らしい香りはつけているとリラックスし、憧れの香りは気分が高揚する感じがしました。 自分らしくあるためのアイテムの一つとして、香水を選んでみてはいかがでしょうか?
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